Friday 28 July 2017

《戀愛沙塵暴》の感想など。

今さらながら《戀愛沙塵暴》を観た。
勘違い、すれ違い、不信感…家族や友人、恋人との関係上にある綻びが、小さなきっかけで大きな裂け目になる。でもそれが、関係を修復するための、あるいは見直すための、大切なきっかけともなる。林一家のそれぞれが経験する、恋愛に絡む成長物語?という感じだった。

スローモーション取り入れたり照明を急に変えたり、非現実的な映像交えたり、演出が適度に奇抜でおもしろかったのもあるけど、それに合わせて俳優陣の演技もキレッキレで退屈しない。林家の長男・林亦得を演じたのは安定の吳慷仁。愛想を振りまいて機嫌をとるのがうまいけど、ここぞというときに大事なことをはっきりと相手に伝えられない。そのせいでわがままと束縛を繰り返す恋人の言うがままにされて挙句に仕事を失う情けない役柄。その“お姫様症候群”の恋人役をする葉星辰の演技もキョーレツ。背後から亦得にスタンガンを浴びせる時の狂気じみた笑み。彼女にはしたくないし、自分もああいう人間にはなりたくないけど、自らの欲望を曲げることなく直球でぶつけてくる強さは少しくらい見習ってもいいかもしれない。

一番気になったのは長女・林亦珊と莊浩洋の恋。友情か愛情かで躊躇せず友情を選んでしまう純粋さ。だからといって恋心をなかったことにできるはずもなく苦しい。葛藤する役どころを演じたのは新人の陳妤という女優さん。相手役も新人だそうで許光漢という。撮影中のおまけ映像では、監督から演技指導を受ける陳妤の姿を見た。初々しいようで情熱的な演技をするなあと思った。中国語で言う「一夜情」は「一夜限りの恋」とか「(思いがけず)一夜を共にする」といった意味合い。最近よく台湾ドラマで耳にするような気がするけど、この二人も「一夜情」から始まった恋。現実ではあり得なさそうな筋書きもドラマだとなんか運命的な出会いとしてまとまってしまうからすごい。浮気常習犯だった浩洋から親友を守ろうと、敵対心を抱いていたはずが、ハプニングを経て気持ちを持ってかれる、その過程での二人のやりとりに不覚にも胸キュンしまくった。普段からラブコメの胸キュントラップ(と勝手に呼んでいる)をバカにしているのに、まんまとハマる。

ドラマは観客の観たいものをみせるものが必ずしもいいドラマだとは言えないと思っているけど、痒いところを掻いてくれるかのように、そうなってほしいと思っている通りに話が進んでくれると、それはそれでやっぱり気持ちがいい。たまにはそういう作品を観て息抜きにするのもありだ。前半でこれでもかというくらい家族同士が、夫婦同士がすれ違いを重ねる、その歯がゆさが後半でずばずばっと解決されていく、気持のよさ。

この流れでYoutubeにある吳慷仁のインタビュー動画を観ていた。今まで知らなかったが、中学生のころから働き始めて、10代のころにいくつもの仕事を経験したとかで、苦労していたみたいだ。俳優の苦労話を美談にしたいわけではなく、ここ数年、台湾の映画、ドラマ界でもてはやされている、普段見ている映像の中の彼からは想像がつかなかったので、少し驚いた。鳶の仕事をしてて足の裏に釘が刺さったこともあったとか。釘を抜くと血が弧を描いて噴き出したって笑いながら話してた。それから台北でバーテンダーをやって、俳優に。(確か向井理もバーで働いててスカウトされたんじゃなかったか?)今自分が迷いながら仕事を探している身なので、こういう迷う暇もなく働くしかなかったとか、そうこうしている間にいろんなことやってたとかで、おもしろい経歴している人にはとりわけ興味が湧く。さて自分はこれからどうするのだろうか。台湾ドラマばかり観ていていいのだろうか。


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