Thursday 11 April 2019

最近見てる台湾ドラマ、特に《我們與惡的距離》押し

最近見ている台湾ドラマ記録
・我們與惡的距離(悪までの距離)
・我是顧家男(僕は顧家男)→これどうやって訳すのがいいのか考え中
・愛情白皮書※2019年放送版(あすなろ白書)

【我們與惡的距離】公共電視 監督:林君陽、脚本:呂蒔媛
公共テレビはほんとにいいドラマを作ってくれますね。見ごたえある。
青年による無差別殺人事件をきっかけに人生が変わってしまった人々の物語を描く群像劇。殺人犯の担当弁護士、殺人犯の家族、殺された被害者の家族、そして事件をめぐって有る事無い事書き立てるメディア、世論、SNS...複数の視点があり、そのどれもが痛々しく、社会問題と、それから人間の汚さを抉り出してくる。

このシナリオはおそらく2015年、台北の地下鉄で実際に起きた無差別殺傷事件を題材にしているんだろう。ドラマの事件現場は映画館であったり、実際の事件とはいろんな点で設定が違うけど、当時台湾で議論になった「死刑制度の是非」がこのドラマでも大きなテーマになっている。

弁護士・王赦役に我らが愛しの吳慷仁。彼は被告人の死刑を回避しようとしており、死刑は根本的な解決にはならない、再発を防ぐために動機や原因を突き止めないとと訴える。実際にあった事件の犯人は2016年に死刑を執行されており、ドラマの中の被告人にも死刑の足音が迫る。王は動機を探るため被告人の心を開こうとするが一向に前進せず、家族との面会も断っており、事件の原因は謎に包まれたままだ。一方でメディアは闇雲にレッテルを貼る。親子関係が悪かったのだとか、いじめだとか。理解できなきないことは恐怖だから、人間は理由が欲しいのだ。そうして誹謗中傷、被害者への賠償と負い目に疲弊した家族は社会の隅に追いやられ、妹だけが名前を変えて、逃げるようにして家を出る。

母が実の娘に改名した新しい身分証を手渡すときの台詞。
「私たち家族で死ぬのは3人だけで十分(両親と被告人である兄のこと)」
「これから 両親は死んだことにしなさい」
ガチでここ一番の号泣シーンです。

この妹が「李曉文」ではなく「李大芝」として歩み始め、テレビの報道局で編集ディレクターの仕事に就くことができたとき、自分を抜擢した上司がまさに兄の手によって子どもを殺された被害者であることを知ってしまう。なんという皮肉。どこまでも追いかけてくる過去の影に挫折し、夢をあきらめるのか、それとも自ら打ち明けて和解しようとするのか、加害者の家族としての彼女の戦いも見どころの一つだ。李大芝役に陳妤という役者さん。2016年の《戀愛沙塵暴》に男勝りで恋愛に興味ない感じだったのが、友人の好きな人を好きになってしまう役で出てて、恋をしたとたんにすんごい柔らかいきゅんとする表情を見せるところがとても印象的だった。このドラマでは打って変わってシリアスな局面が多い(むしろシリアスしかないのでは)。

ほかにも様々な理由から統合失調症を患った人や、広く精神障害を持つ人々に対する世の中の誤解や偏見のえげつなさも描かれている。とにかく社会派でよく練り上げられた内容だ。


【我是顧家男】監督:北村豐晴、脚本:林其樂、林萱
これタイトルがよくて、主役の「顧家南(グージャーナン)」っていう人物名と「顧家男(グージャーナン※発音が同じ)」=「家庭を大事にする男」っていう言葉をかけてるの。ネイティブが聞くとしょーもな!って思うのかもしれんが。訳すの難しいな。

こちらも私の好きな俳優・黃健瑋が顧家南役で出ており今期は退屈しない。アイドルドラマに出てるの珍しくてちょっと違和感、いちゃつくラブシーンが妙にリアルでこそばゆい。「男に選ばれるのを待つ?そんな時代は終わった!これからは女が男を選ぶのさ!」という感じで、最近(結構前から?)よく見かける社会的地位とか経済的地位とかがヒロイン優位路線のお話。そういう意味では《姊的時代》もそうだった。違うのは、カップルが同年代であることと、最終的にヒロインが「落ち着いてて人柄がいいけど家柄と顔が普通な男」と「絵に描いたイケメンで家柄よさげな男」のどちらを選ぶのかって選択肢になるあたりか。二人の男性役の俳優が黃健瑋と謝佳見で、わかりやすくてウケた。

あとオープニングが逃げ恥の恋ダンスに人増やしてめちゃくちゃ金かけた感じでいい。(感想が雑)


【愛情白皮書】監督:李芸嬋、林君陽 脚本:劉瑋慈、溫郁芳、陳妤柔、劉蕊瑄(多いな)
これ日本の漫画原作でキムタクとかが出てドラマ化されてたんですね。それに台湾でも2002年にリメイクされて今回は二度目らしくて、5人のサークル仲間がいろいろあって別れたり、中には亡くなったりした後の話。

あまり期待せずに見始めたけど結構おもしろくて続いている。《翻牆的記憶》を見てから張庭瑚が気になっていたのでちょうどよかった。

原作と同じく松岡は交通事故死しており、残された息子を成美と星華が育てている(原作は“なるみ”と“星香”)。日本版も見てないやつを台湾版で見るのはなんか不思議な感じ。あと出演陣について調べてたら年下の20代前半とか結構いて時の流れを感じた。。。


…とまぁ結構もりだくさん。
うち、どれが日本語版くるんだろう。あすなろ白書あたりは来そうな予感。
私としてはぜひ《我們與惡的距離》を…!