Saturday 1 October 2016

最近観た&そういえば観たな映画メモ

最近観た&そういえば観たな映画メモ


『超高速!参勤交代』
どの役者さんも個性があっていい。ドラマ「相棒」枠の時間帯の雰囲気がした。夜8時くらいからやってる時代劇の感じ。地方の弱小藩・湯長谷藩がたった5日で江戸に参勤せよと無茶振りされる。湯長谷は現在の福島県いわき市のあたり。台詞の一部には3.11の原発事故とそれによる放射能汚染の問題を連想させるものがある。「土とともに生きる」「土を守らねばならない」のような。藩主はその土で百姓が丹精込めて作った大根の漬物が大好物。幕府にもそれを献上するほど。

幕府老中の松平なんちゃらがいわゆる悪代官的な役回りで、とことん悪知恵を働かせて弱小藩の武士たちを困らせる。藩主・内藤なんちゃらは民に慕われ、常に民のことを第一に考える優れた人物。徳川吉宗に向かって、「上に立つものが愚かであれば民が苦しむ」的な言葉をバンっと言い放つところかっこいい。全体としてはもちろんコメディなんだけど、細かな台詞(上述)にちょいちょい引っかかるというか、気になってしまうところがあり、なんとも皮肉めいた感じがする。3.11後、事故の対処に右往左往した政府への批判ととらえることもできるかもしれない。できれば、どんなに汚染された土地だとしても我々はその土地に根付いてそこの土とそこで育つ作物とともに生きねばならんのだ、的なメッセージであってはほしくない。でもまあ、気軽に観る感じの映画だ。


『超高速!参勤交代リターンズ』
やっぱり猿の菊千代かわいい。深田恭子もかわいい。一作目もそうだったけどエンドロールで流れる曲だけはとってつけた感あって残念。二作目の方が立ち回りが多かった。湯長谷藩は結局幕府に利用されてるだけで、それでも何が何でも藩は守り通す、潰されてたまるか、と必死になる人たちを観ていたら、だんだん「そこまでして守る必要もないのでは」というような気持ちになってきてしまった。映画だし、ハッピーエンドになるのは分かっているからそのままでいいんだけど、現実だとしたら、藩を守って死ぬより生き抜く方がいい。私ならそうする。笑うだけ笑っておもしろかったねって言って映画館をあとにすればいいだけの作品のはずが、むやみに深掘りしてしまいそうになる。むだだな。


『俳優 亀岡拓次』
安田顕さんほんまいいですよね。ストーリーよりもカメラワークとか、現実と妄想?の継ぎ目のない切り替わり方とかが面白かった。


『シン・ゴジラ』
いろんな人がいろんなところで色々言ってるから自分の感想を書くのは気がすすまないんだけど、私はすごい好きだった。旧作はたぶん小さい頃に観たことあるけど全く覚えてない。モスラはあのなんか双子みたいなのと歌だけ覚えてる。あと家にモスラの卵のおもちゃがあったな。ちなみに私はいろいろあるシン・ゴジラ関連の記事の中でもこの記事とかに同感した。
“現実対虚像”がテーマだったけど、この作品自体がものすごい虚像だったというか、壮大なギャグだったというか。石原さとみが一番の虚像だったんじゃないか?それより台詞が長いし早口だし、ものすごい古い映画を観ているような気持ちにもなった。あと、何も知らずに観たので、エンドロールのキャストの最後の方に「野村萬斎」って出てきて「はっ?えっ?どこに?」ってなった。答えを聞いて劇場で爆笑したのでした。


『ディアスポリス(劇場版)』
ドラマがめちゃくちゃツボでおもしろかったので期待して観に行ったが、ちょっと思っていたのと違った。でもおもしろくなかったわけじゃない。ちょっと面食らった。ドラマは最終的に不法滞在者vs外国人排斥組織っていう構図があって比較的わかりやすく、事件がおきるごとにそれを解決していくサスペンス感覚で観ることもできたんだけど、映画の方は少し違った。ラストの海辺のシーンなんかは特にフィルム・ノワールのような感じがしたし、何がいいとかわるいとか何を守るとかでもなくなっていって、ぐじゃぐじゃに汚くなった人間が虫けらのように殺されていくのをただただ観ているだけのような。

日本の警察が出てくるでもなく、どちらかというとアウトローな日本のヤクザが登場して久保塚と組む。久保塚はどんな悪い事をした奴でも(不利な状況に置かれている外国人なら)殺そうとはしないけど、ヤクザにはそういう信念はどうでもよくて、仲間を殺した奴は殺す。それぞれ自分の道理で生きている。神を信じていたがために命が危うくなり祖国を追われた少年にも宗教の道理があったはずだが、よりどころであった神にすら見放されて(神を信じることができなくなった?)やけっぱちになり人を殺しまくる。なんだろう、そこにはもはやルールもないし、人道みたいなものもないし、でもなぜか友情だけはある…。どう消化したらいいか分からないまま映画を見終えて、相方とはとりあえず「ハマケンよかったね」みたいな会話で〆た。


ディアスポリスに出てくる裏都庁の裏都知事の設定、見た目(白髪のロン毛)が台湾の独立運動家、革命家として著名な史明に重なるなあとずっと思っていたのだがモデルにしたのかどうか真相は分からない。漫画が原作らしいので、漫画家さんに聞いたりしたら分かるのかな。

他にも観てるはずなんだが、すぐにメモしないと忘れる…。